春になると毎年のように「今年は花粉の飛散量が過去最多」といったニュースを目にします。
実際に花粉の量は増えていると言われていますが、木の数が急激に増えているわけではありません。それでは、なぜ花粉の飛散量は年々増えているのでしょうか。
本記事では、花粉量が増えている理由や背景についてわかりやすく解説します。
花粉の飛散量は本当に増えているのか
まずは前提として、花粉の飛散量は年によって大きく変わります。
花粉量は主に、
- 前年の夏の気温
- 日照時間
- 降水量
などの影響を受けるため、毎年同じ量になるわけではありません。ただし近年は、花粉量が多い年が増えていると指摘されています。
なぜ花粉の飛散量は増えているのか
花粉の飛散量は増えている要因としては、以下の4つが挙げられます。
- 戦後に植えられたスギが成熟期を迎えている
- 猛暑の影響で花粉の元が増えている
- 森林管理の減少
- 気候変動による影響
それぞれの要因について詳しく解説していきます。
戦後に植えられたスギが成熟期を迎えている
日本では戦後の住宅需要の増加に伴い、全国でスギの植林が行われました。スギは樹齢30年頃から花粉を出し始め、50年頃になると花粉量が増えると言われています。
そのため、戦後に植えられたスギが現在ちょうど花粉のピークを迎えていると考えられています。
猛暑の影響で花粉の元が増えている
花粉の元になる「花芽」は前年の夏に作られます。夏の気温が高く、日照時間が長いほど花芽が多く形成されるため、猛暑の年の翌春は花粉量が増えやすい傾向があります。
森林管理の減少
かつては林業の一環として、森林の間伐や植え替えが行われていました。しかし近年は林業の担い手不足などの影響で森林の管理が行き届かない場所も増えています。
その結果、樹齢の高いスギが多く残り、花粉量が増える要因の一つになっています。
気候変動による影響
気温の上昇や気候の変化により、植物の成長環境も変化しています。温暖化によって植物の生育が活発になることで、花粉量が増える可能性が指摘されています。
花粉が多い年の特徴
花粉量が多い年には、以下のような傾向があります。
- 前年の夏が猛暑
- 日照時間が長い
- 冬が暖かい
- 春に乾燥した風が吹く
これらの条件がそろうと、花粉が多く飛散しやすくなります。
花粉量は今後も増え続けるのか
花粉の飛散量は毎年同じように増え続けるわけではなく、気象条件などの影響によって増減を繰り返します。ただし近年は猛暑の影響などもあり、花粉量が多い年が続いている傾向が見られます。
また、日本では戦後に植えられたスギが現在ちょうど花粉を多く出す樹齢に達しているため、当面は花粉量が高い水準で推移する可能性があると考えられています。
近年は花粉の出ないスギへの植え替えなどの対策も進められていますが、森林の入れ替えには長い時間がかかるため、すぐに花粉量が大きく減ることは難しいと考えられています。
このように、将来的には改善が期待されるものの、短期間で花粉量が大きく減少するとは考えにくく、引き続き花粉対策が求められます。
日本の花粉症が世界でも多い理由
日本では花粉症に悩む人が多く、これは世界的に見ても高い割合といわれています。
その大きな理由の一つが、戦後に行われたスギの大規模な植林です。第二次世界大戦後、日本では住宅需要の増加に伴い、建築用木材としてスギが全国に植えられました。現在では日本の人工林の多くをスギやヒノキが占めています。
さらに、日本は山地が多く、都市は平野部に集中しています。そのため、山のスギ林から飛んだ花粉が風に乗って都市部に流れ込みやすい地形になっています。このような背景から、日本では花粉症の人が多いと言われています。
花粉症が多い都道府県の傾向
花粉症の症状の感じ方には個人差がありますが、一般的に花粉の影響を受けやすい地域にはいくつかの共通点があります。
例えば、スギやヒノキの人工林が多い地域や、山地と都市部が近い地域では花粉が都市に流れ込みやすくなります。また、盆地のように風の流れが滞りやすい地形では、花粉が溜まりやすいと言われています。
こうした条件が重なる地域として、
- 山梨県
- 静岡県
- 東京都
- 神奈川県
- 埼玉県
などが挙げられることがあります。
特に関東地方では、周辺の山地から飛んできた花粉が都市部に集まりやすいとされています。
まとめ

花粉の飛散量が年々増えている背景には、戦後に植えられたスギの成熟や猛暑の影響、森林管理の減少などさまざまな要因があります。
木の数が急激に増えているわけではなく、複数の要因が重なって花粉量の増加につながっていると考えられています。
また、花粉量は毎年一定ではなく、気象条件によって増減を繰り返しますが、当面は高い水準が続く可能性もあります。将来的には花粉の出ないスギへの植え替えなどの対策による改善も期待されていますが、効果が現れるまでには時間がかかるとされています。
こうした背景を踏まえ、花粉症の対策を適切に行いながら、自分に合った向き合い方を見つけていくことが大切です。
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